第20章 勇敢なる海の戦士
「うお!!いけるクチだな、おい。うめぇか!?どんどんいけよ!?」
おぉ…カルーがめちゃくちゃジュースを飲んでる姿を嬉しそうに見てる…鳥類にもウケてるのが嬉しいのかな。
「サンジ。」
「ん?どうしたなまえちゃん。」
「私にもジュースちょうだい。」
「……あ、おれとしたことが!なまえちゃん、ちょっと待っててくれ、特別仕様にしたから後でと思ってたんだ。」
私のおねだりに慌てたように立ち上がったサンジ。あ、そんなに急がなくても大丈夫だったのに…キッチンに入ったサンジについていく。
「お待たせいたしましたレディ。本日のジュースは果汁100%のトロピカルフルーツをふんだんに使ったものでございます。」
「…わぁ…オシャレだ!ありがとう…あれ、飾りのフルーツが違う…?」
そうなのだ。他のみんなが飲んでいるジュースには飾りとしてレモンがささっているのだが…私のはミカンになってる。
「なまえちゃんはレモンが苦手だっただろ?だからミカンを代用したんだ。と、炭酸を抜いてソーダ味のグミを入れといた。」
「だから特別仕様…この星型のグミめっちゃ可愛い…ありがとうサンジ!!」
すぐさまスマホを出して撮りたいが、サンジの前でスマホを出すわけにもいかないので後でこっそり撮ろうと思う。サンジの配慮にお礼として満面の笑みを向けてみたら…
「……ふ、」
え、なんか鼻で笑われた?いや、なんかニマニマしてるみたいな顔されてる!星型のグミではしゃいだのがちょっと子供過ぎた?いやでもはしゃぐでしょこれは!!
「………な、なんでしょう?」
「…いーや、なんでもないさ。」
ぽん、と頭を撫でられた…撫でられた!?え?
サンジはそのまま甲板へ向かっていく。
「なにーーーっ!?」
バン、と柵に手をついてサンジの背中に問い掛ければ…背を向けたまま手を振られた。なに…本当に……なんか負けた気がするのは気のせいだと思いたい。精神年齢は今のサンジと同じなんだぞ私は!!悔しくて、手元にある飲み物を飲めば…
「…くそぅ…美味すぎだろ……」
またその飲み物で完敗してしまう私であった。