第17章 約束
ラブーンには早めに伝えたみたいだ。だけど、クロッカスさんの言うことが信じられないとでも言うように、言葉を遮って吠えた。暴れて吠えて大変だったのだという。
「………それ以来だ…ラブーンがリヴァース・マウンテンに向かって吠え始めたのも、“赤い土の大陸”(レッドライン)に自分の体をぶつけ始めたのも。まるで今にも彼らはあの壁の向こうから帰ってくるんだと主張するかのように……!!その後も何度も海賊達のことを伝えようとしたが、ラブーンは事実を決して受け入れようときない。」
「何てクジラだよ…裏切られてなお待つか。」
「待つ意味もねぇのに………!!」
「そうだ…意味をなくすから私の言葉を拒む。待つ意味を失うことが何より怖いのだ。こいつの故郷は“赤い土の大陸”(レッドライン)の向こう側“西の海”(ウエストブルー)。すでに帰り道はない。だからここへ一緒にやってきた彼らだけが仲間であり希望だったのだ。」
そうか。ウエストブルーだったら私達が連れてってあげるなんてことできないもんね。てもやっぱりラブーンがこんなに好きな海賊が、こんな非道な真似するわけないって思うんだけどなぁ。
「…でもよ、確かにこいつは可哀想な奴なんだが、言ってみりゃあんただって裏切られてるんだぜ?…もう放っておいてもいいんじゃねぇのか?」
「…こいつの額のキズを見ろ…このまま加減なく頭をぶつけ続ければ、間違いなくこいつは死ぬ。妙な付き合いだが、50年近くもこいつとは一緒にいるんだ。今更見殺しにできるか…」
そうだよね、クロッカスさんが医者でよかったよ。じゃないとラブーンはもっともっと苦しんでただろうから。
「……ルフィ、なんとかできないかな…私達が、新たな約束をするとかさ…」
「……………う〜〜〜〜ん……っ、よし!俺に任せろ!!」
「えっ、マジで?ちょっと……」
ルフィはメリー号のメインマストを折り、それを持って勢い良くラブーンを登り始めた。なにを始める気だろうか…凄く不安である。
「何やってんだあのバカはまた。」
「ちょっと目を離したスキに…」
「山登りでも楽しんでんのかね。」
「………ごめん、何が起こるのか分からないけど先に謝っとく。」
「……?なんでなまえちゃんが…」
なんか嫌な予感しかしないわけですよ。てっぺんに着いたルフィは、マストを真上にゴムゴムで伸ばした。
