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異世界人の冒険

第17章 約束


「ナミ…………、」

「しかし50年もこの岬でね。」

「まだその仲間の帰りを信じてんのか。随分待たせるんだなー、その海賊達も。」

「バーーカ、ここは“偉大なる航路”(グランドライン)だぞ。2・3年で戻るっつった奴らが50年も帰らねぇんだ……もう答えは出てる。死んでんだよ。いつまで待とうが帰ってきやしねぇ………!!」

うーん、これは完全に言うタイミング逃したパターンではないか。だって絶対重い話じゃんこれ。

「てめぇは何でそう夢のねぇことを言うんだ!!まだわからねぇだろうが、帰ってくるかも知れねぇ!!美しい話じゃねぇかよ、仲間との約束を信じ続けるクジラなんて…」

ウソップがサンジの憶測に異議ありと叫ぶ。確かに決めつけはよくないかも…ラブーンだってそう思ってずっと待ち続けているんだから。

「だが事実は想像よりも残酷なものだ。…彼らは逃げ出したのだ。この“偉大なる航路”(グランドライン)からな。確かな筋の情報で確認済みだ。」

「な…なにぃぃ…!!?」

「……このクジラを置いて…!?まさか。…でも逃げるには“凪の帯”(カームベルト)を通らなきゃ……!!」

「そうとも……故に生死すら不明。だが、たとえ生きていたとしても二度とここへは戻るまい。季節・天候・海流・風向き全てがデタラメに巡り、一切の常識が通用しないのがこの海。“偉大なる航路”(グランドライン)の恐怖はたちまち弱い心を支配する。」

「そして心の弱いそいつらはてめぇの命惜しさに約束の落とし前もつけずに、この海からとっととズラかったって訳だ。」

「見捨てやがったのか、この鯨を!!そいつら。信じてこいつはここで50年も待ち続けてんのに…!!!ヒドイぞそりゃあ!!!」

確かに酷い話だ。だろうけど…彼らにももしかしたら事情があったのかもしれない。この双子岬まで共に可愛がってきたラブーンとの約束を平気で破るような奴らだったら、ついてきたラブーンを疎ましく思ったり殺そうと思ったりするはずだ。でもそうしなかったのは、彼はラブーンのことを仲間だと思ってるからだ。そんな仲間を残して逃亡なんて、考えられない。

「それがわかってるんだったらどうして教えてやんないの?この鯨は人の言うことが理解できるんでしょ!?」

「言ったさ、包み隠さず全部な。だが聞かん。」

「聞かない?」
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