第2章 無色透明な石
「おうなまえ、もう平気なのか?」
「…うん、迷惑掛けてごめんシャンクスさん。」
「迷惑なんてかかってないさ!変な奴だな。」
ちらっとシャンクスの左腕を見る。さっきマントで隠されて見えないが、思い出した。ルフィを助けて左腕を近海の主にあげちゃったんだっけ。ルフィは少し辛そうな顔をして見ていた。
「…これは。」
「ふ〜ん、男前になったじゃん。かっこいいね、ルフィ。」
私が腕のことを聞くだろうと思っていたのか、面食らったようだ、シャンクスとルフィは大きく目を見開いた。ルフィがつらそうにしてるし、あえて聞くことはないだろう、と思った私なりの配慮だ。
「……うん!!シャンクスはかっこいいんだ!」
ルフィは今度は本当に嬉しそうに肯定した。
「あっはっはっ、やられたなお頭!」
「……うーん、こりゃ1本取られちまった!」
「コイツはイイ女になるぜ?」
「あはははは!!」
近くを通りかかったヤソップさんがそういった。やった、イイ女になれるかな?ひとしきり笑った後、シャンクスは切り出した。
「えっ。」
「この船出でもうこの町へは戻ってこないって本当!?」
「あぁ、随分長い拠点だった。ついにお別れだな。悲しいだろ。」
「うん、まあ悲しいけどね。もう連れてけなんて言わねぇよ!自分でなることにしたんだ、海賊には。」
「どうせ連れてってやんねーよー。お前なんかが海賊になれるか!!」
またそうやってシャンクスはルフィを煽って。でももうルフィは前のルフィじゃないもんね。
「なる!!おれはこの一味にも負けない仲間を集めて!!世界一の財宝を見つけて!!海賊王になってやる!!」
「ほう…!俺達を超えるのか。………じゃあ…
この帽子を
お前に預ける
俺の大事な帽子だ。
いつかきっと返しに来い。
立派な海賊になってな。」
そういってシャンクスは船へと向かっていった。ルフィの頭にはさっきまでシャンクスが被っていた麦わら帽子がある。今は、いっぱい泣いてもいいと思うよルフィ。