第16章 進水式と私の覚悟
あいつは死ぬと思ってても笑ってるんだね。その笑顔を見たら、なんか腰が抜けちゃった。その瞬間
バリバリバリバリ!!!
死刑台に雷が落ちた。それはバギーに直撃し、死刑台と共に倒れていったのだ。そしてルフィは…
「なははは、やっぱ生きてた。もうけっ!」
開いた口が塞がらないとはこのことである。現在私と、アルビダとバギーを除くバギー一味がポカンと口を開けて硬直してしまっている。
「おいお前、神を信じるか?」
「バカ言ってねぇでさっさとこの町を出るぞ。もう一騒動ありそうだ。」
確かにそうね。周りに海軍が囲んでるのは見えてた。ゾロはそれに気づいてたんだろうか、さすがですわ。
「広場を包囲!!海賊どもを追い込め!!」
「きたっ!!逃げろぉ!!!おい、道どっちだ!?」
ルフィの声で二人とも走り出すが…私も立ち上がんないとって足を出したのに震えて立てなかった。多分さっきの騒動で腰を抜かしちゃったからだろうなぁ…
「行くぞなまえ!!」
俵のように担がれてしまった。いやまぁもたもたしてた私が悪いんだけどさ…
「おい、何座ってやがったんだおま……あ?」
「…………なまえ、ちゃん?どうして泣いてるんだ…?」
ゾロのつっかかりがやけに中途半端だと思ったら、サンジがそういった。…泣いてる?私が?…そういや雨で分からなかったな、目が痛いし鼻水も結構でてくることにさ。
「?なまえ?どーした?」
ぐしぐしと目を赤くさせるだけなのに擦って、振り向いたルフィに言う。
「……っ…んーん、なんでもない!」
「……そうか!」
本当は分かってる、私が泣いちゃった理由。ルフィが本当に死んじゃったと思ったからだ。でも現にルフィは生きてるし、私を担いでるのはルフィだ。大丈夫、大丈夫だ私。そもそもローグタウンで死ぬなんて本編始まってから主人公死ぬの早すぎだもんね。
「本当に大丈夫か?なまえちゃん…」
「うん、なんでもないよ。ごめんね。」
ギュッ、とルフィの腕を掴んでサンジに笑顔を向けた。サンジはちょっと笑ったし、ゾロは呆れたようにため息をついたから…きっと私が泣いた理由がわかったんだろうな…ルフィは相変わらずハテナ浮かべてますけどね。