第16章 進水式と私の覚悟
「わかった。私とウソップとなまえは船に戻って出航の準備をする!ゾロとサンジくんはルフィの救出に向かって。」
「やだ!!私はルフィを助けに行かないと!!」
目の前に殺されそうなルフィがいる。船の確保も大切だけど、背中を向けて行くなんてできない。ここからじゃ人が多すぎて走っていっても間に合うかどうか…
「お、おい!なまえちゃん!」
「おれは!!!!海賊王になる男だ!!!!」
死刑台からルフィの声が聞こえてきた。ここで言うのねルフィ。死刑台を見ている人たちは失笑を浮かべているが、ルフィは本物だよ。笑ってられるのも今のうちだもの。
「なにやってんの、ゾロ、サンジ!!早く死刑台を切り落としてよ!!」
「おめぇが行くんじゃねぇのかよ!」
「私に死刑台を落とせる力があったらそうしてるよ!!早く!!殺されちゃう!!」
バギーが剣を振り上げるのが見えた。私がだんだん焦ってきたのが分かったのだろうか。二人は死刑台の中央に行くと、声を張り上げた。
「その死刑、待て!!!!」
「サンジ!!!ゾロ!!!助けてくれぇ!!!」
「来たなゾロ。だが一足遅かったな…!!!」
「とにかく、なまえの言うとおりあの死刑台を壊すんだ!!」
「わかってるよ。」
2人が走り出した。この距離でバギーが振り下ろす前に死刑台にたどり着くのだろうか。バギー一味も邪魔してくるし…雑魚だけど、邪魔には違いない。…って今バギー一味、アルビダ姉さんって言った!?あそこにいる綺麗な人がアルビダ!?それこそ冗談でしょ。
「ぎゃははははは!!そこでじっくり見物しやがれっ!!!てめぇらの船長はこれにて終了だぁ!!!」
これはもう…間に合わないかもしれない。ゾロやサンジに任せるのは難しい。私の短剣もあそこまでは届かない。…そうだ、水を飛ばせる。
手から水を出して…
「ゾロ!!サンジ!!ウソップ!!ナミ!!なまえ!!わりい、おれ死んだ。」
「……っ!!バ…」
「バカなこと言わないでルフィ!!!!………死なないで…っ」