第16章 進水式と私の覚悟
「ん?空気が変わった……」
「空気?どうしたのナミ。」
「戻るわよ。すいませーんおばさーん!でっかいビニールあるー?」
「ビニール?雨の日でもあるまいし。」
ナミの言うことなんだからきっとひと雨くるのかな。おばさんは奥から大きいビニールを持ってきてくれて、持ってた服の塊を突っ込んだ。これで雨対策はバッチリ、と。
「……異常に気圧が落ちてく。早く船に戻ったほうが無難かも。」
「じゃあみんなを探さなくちゃ……」
「「あ」」 「「お」」 「ん」
偶然鉢合わせになったようだ。サンジとウソップはなんか大きい魚?を持ってるし。
「で?あいつは?」
「死刑台を見るって…言ってたわよね…」
「死刑台のある広場ってここじゃねぇのか?」
ここか、やけに広いところに出たと思ったわ。確かに死刑台がある。あれが死刑台かぁ……ん?なんか上に乗ってる…あれは……
「………あれ、ルフィだよね?」
私の声に話していたみんなが死刑台を見る。そして声を合わせて言うのだ。
「「「な!!!なんであいつが、死刑台にっ!!?」」」
私に聞かないでよ。こっちが知りたいわ。
「……あれ、バギー一味じゃない?」
「あぁ、あの赤っ鼻か…」
「状況はヤバイよね?」
「ヤバイな。」
カバジがルフィを死刑台につっぷさせてるみたい。あいつ…ゾロに負けたくせに。ていうか、処刑執行するとかなんとか言ってなかった?
「わかった。私とウソップとさとみは船に戻って出航の準備をする!ゾロとサンジくんはルフィの救出に向かって。」
「やだ!!私はルフィを助けに行かないと!!」
目の前に殺されそうなルフィがいる。船の確保も大切だけど、背中を向けて行くなんてできない。ここからじゃ人が多すぎて走っていっても間に合うかどうか…
「お、おい!さとみちゃん!」
「おれは!!!!海賊王になる男だ!!!!」
死刑台からルフィの声が聞こえてきた。ここで言うのねルフィ。死刑台を見ている人たちは失笑を浮かべているが、ルフィは本物だよ。笑ってられるのも今のうちだもの。