第2章 無色透明な石
「ちくしょう!!……絶対許さねぇ!!」
「新種発見だ…見世物小屋にでも売り飛ばしゃあ結構な金になりそうだな。」
ルフィはその辺に合った大きな棒で、なおも歯向かおうとあがらっている。その勇気は評価するけど、ルフィじゃ無理だよ…そう思って、ルフィの服を掴み止める。
「え、なまえ……!!」
ここで意識を飛ばすわけにはいかないんじゃアホ!!残った変な根性でルフィを睨みつける。
よし、ルフィの動きが止まった。その時、
「その子らを放してくれ!!頼む!」
あー、マキノさん大層驚いただろうなぁ。ちょっと目を離した間に私が頭を血まみれにして地面に横たわってるんだからさぁ。あ、文字にするとなんで私死んでないんだろうって思うわ。
「ルフィが何をやったかは知らんしあんた達と争う気もない。失礼でなければ金は払う!その子らを助けてくれ!」
「村長」
ルフィがポツリと言った。今村長さんの方に顔を向けることはできなかったが、声の必死さで土下座とかしてるんだろうなぁ、と大体は想像つく。
「さすがは年寄りだな。世の中の渡り方を知ってる。だが駄目だ!もうこいつは助からねぇ。なんせこの俺を怒らせたんだからな…!こんな文字通り軟弱なゴム小僧にたてつかれたとあっちゃあ、不愉快極まりねぇぜおれは…!…まあそこの小娘は勝手に倒れてるだけだし、見逃してやるがな。」
勝手に倒れてるって……お前が投げた豪速球に当たって倒れてるんですがねぇ?もちろん豪速球ってルフィの頭のことだけど。
「悪いのはお前らだ!この山ザル!!」
「‘……よし、売り飛ばすのはやめだ。やっぱり殺しちまおうここで。」
スラッ、と剣を抜く音が聞こえる。掴んでるルフィの顔をチラッとみると、かなり青白くなり去勢を張ってないと泣いてしまいそうだ。
「ルフィ!!」
「た…頼む!!見逃してくれ!!」
「港に迎えがないんで何事かと思えば……いつかの山賊じゃないか。」
必死で叫ぶ二人に混じって冷静な声が聞こえた。この声は
「船長さん!」
やっぱりシャンクスだ。帰ってきてたんだ、ナイスタイミング。情けない格好で本当に申し訳ない。
「ルフィ!お前のパンチは銃(ピストル)のように強いんじゃなかったのか?」
「………!!!うるせぇ!!」
手に伝っていたルフィの震えが止まった。さすがシャンクス、ルフィは安心したんだな。