第2章 無色透明な石
「おれぁ、ああいう腰抜け見るとムカムカしてくんだ。よっぽど殺してやろうかと思ったぜ」
「……何故、殺らなかったんですか?」
私は言葉を少しだけ強くした。当て字で聞いたのは私なりの怒りだ。それに少しだけ気づいただろうヤマザルは、可笑しそうに含み笑いを浮かべた。
「んん?お前、度胸あるなぁ……海賊なんてあんなモンだ。カッコばっかで…」
「やめろ!!!」
「ああ!?」
「シャンクス達をバカにすんなよ!!腰抜けなんかじゃないぞ!!」
「やめなさいルフィ!!」
マキノさんが後ろから必死で止めようとしていたが、今のルフィは勢いだけで怒鳴ってるので止まらない。
「シャンクス達をバカにするなよ!!!!」
そっからは流れるようにルフィが山賊達にやられていた。詳しく話すと、その言葉に少しだけ悪くしたヤマザルがルフィを引っ掴み壁へ投げた。しかしルフィはゴムなので打撃は効かない。それを物珍しく思ったのか、店の外へルフィを連れ出し今囲まれているところだ。
「ルフィを離してください!……ルフィから離れて!!」
必死に講義するが、なんせ背が低いのと女の子の力の強さなんてたかが知れる。さっきからルフィを持ち上げてるヤマザルの足や服を破く勢いで引っ張ったりしているのにビクともしない。
「本当におもしれぇ体だな。」
「本当だな。殴っても蹴っても効いてないらしい。」
「くそぉ!!おれにあやまれ!!この野郎!!」
なおもヤマザルを一発殴ろうともがくルフィに私はそろそろ頭にきていた。
「いい加減……私の言うことを聞いたらどうなの!!ルフィ!!あんたは何にもするな!!」
「……ゴム人間とは…なんておかしな生き物がいるんだろうなぁ…」
ルフィの頬を引っ張って地面に打ち付けようとするヤマザル。その先が自分のところだって気づいた時には、ルフィの思いきり重力に沿った頭つきを受け止めていた。
「うぐぅ………!!!」
「う…!!ご、ごめんなまえ!!」
頭がクラクラする。立てないし、それ以前に手を地面に置くことすらできない。ルフィ…めっちゃ頭堅い…石頭にしても硬すぎる…これ、血とか出てない?私の頭から。ルフィの声が頭上からするが、全然反応できないし何言ってるかもおぼろげだ。ヤバイ、これはヤバイかも。