第13章 4人目
なんだこいつすっごい腹立つな。奉貢を一人でも払えなかったら村一つあぁしちゃうの?それって横暴すぎない?村の人たちは毎日毎日殺されるかもしれない恐怖と隣合わせってことでしょ?
「うわぁ!!!」
アーロンが武器を所持してたっていうゲンさんを持ち上げた。雲行きが怪しくなってきたぞ…
「武器の所持は立派な反乱だ。おれ達の支配圏の平和を乱す要因になる。以後てめぇのような反乱者を出さねぇためにも、ここで殺して他の町村の人間どもに見せしめなきゃいけねぇ!!」
まさか…ゲンさんまで殺されちゃうのかな…いや、でもあの人は生き残ってるはず…その時
「そんな勝手な話があるかアーロン!!あたし達はこの8年間かかさずちゃんと“奉貢”を納めてきたんだよ!!今さら反乱の意思なんてあるわけないだろう!?ゲンさんから手を離せ!!」
ナミのお姉さん、ノジコだ。どこに隠れてたのか、いきなり出てきてアーロンに反論をする。ノジコを筆頭に家の中に入ってた人達もみんな出てきてしまった。
「武器の所持が反乱の意志だとおれは言ってんだ。この男には支配圏の治安維持のため死んでもらう!!それともなにか?村ごと消えるか…」
反抗モードだった村の人達の空気が変わった。あいつ本当に自分勝手だな。てか、8年間も我慢し続けたんだな、ココヤシ村の人達は…
「てめぇら一人でもおれ達に手を出せば村の消滅は免れねぇ!!」
「みんな家へ入れ……!!ここで暴れては私達の8年が無駄になる!!戦って死ぬことで支配を拒むつもりならあの時すでにそうしていた!!だがみんなで誓ったはずだ。私達は“耐え忍ぶ戦い”をしようと!!生きるために!!!」
あの時って……ナミがアーロン一味に入ったときかな。こういうとき話の内容がわかってると安易に付いていけるから楽だよねぇ。
「ゲンさん………!!」
「高説だな!!いいことをいう。そう、生きることは大切なことだ。生きているから楽しいんだ。分相応にな!!!コイツは抵抗の無意味を知ってる!!」
勢い良くゲンさんを家の柱に顔面から叩きつけたアーロン。村の人たちは息を呑む。
「生き物はみな生まれながらに平等じゃねぇんだよ、シャハハハハハハハハ!!人間は人間なりに生きりゃいい。」