第2章 無色透明な石
「駄目だよマキノさん。ルフィはただわかってないだけなんだから。」
マキノさんにならって隣で食器を拭いてた私だが、ここだけは譲れない。二人に会話をさせてたが、口を挟んでしまう。
「なんだよなまえ。お前も許してないだろ!」
「まあね。あいつらのことは許せないけどさ。笑ってられる強さっていうのもあるんだよルフィ。」
「ふーん、わかんないね!」
「だからシャンクスさんにいつまでたってもガキって呼ばれるんだよ。」
「なんだと!!」
「ふふふ。」
比較的穏やかに時間は過ぎていってたのに、またあいつがやってきた。
「邪魔するぜぇ。」
「げ……」
「うわぁ…また来た。」
ぼそっと愚痴を零す。大丈夫、二人にも聞こえないくらいの大きさだったからね。
「今日は海賊共はいねぇんだな、静かでいい。また通りかかったんで立ち寄ってやったぞ。…何ぼーっとしてやがる。俺達ぁ客だぜ!!酒だ!!」
「あ、は、はいっ!!」
「マキノさん、私が。」
「えっ!」
ちょっと怯え気味のマキノさんを見て、これは私がやらなければ、と思った。喧嘩売っても今の私じゃあ負けるだけだ。だったらせめて、お前らなんか全然怖くないんだっていう誠意を見せとかないと。
「はい、お待ちどおさま。ご注文はお酒だけでよろしいですか?」
「んぁ、……お前はこの間の。」
「覚えてらっしゃったのですか?こんな小さな私を?」
猿みたいな顔してるから、忘れるのも早いんだろうなって思ったので意外です。という言葉は呑み込んだ。グイッと顔を近づけられてすっごく不快である。
「お前もアイツなんかに庇われてさぞ恥ずかしかっただろな!」
「………どういう意味ですか?」
愉快そうに山賊の部下達が飲み、話しだした。
「あの時の海賊共の顔見たかよ?酒ぶっかけられても文句一つ言えねぇで!情けねえ奴らだ!はっはっはっはっ!!」