第12章 ヨサクとジョニー
「できたぞ!!海賊旗!!!」
大きな旗にペンキで描かれたマークは、かろうじてドクロに見えるけど…はっきり言って下手である。ルフィは真剣に描いたのだろうけど、何でそんなことになった?
「はっはっはっ、ちゃんと考えてあったんだおれたちのマーク!」
「お…おれたちの…」
「コイツには…つまり絵心ってもんがねぇんだな。」
「ううん…もしかしてこれって芸術なんじゃないかしら。」
「海賊旗は死の象徴のハズだろう……まぁある意味恐怖だけどよ。」
「そんな下手なフォローしなくていいから…ルフィは昔から絵を描く、なんてことしてこなかったし…」
「どうだ!?」
「お前は下手クソだルフィ!おれが描く!!」
そして出来上がったものは…なんとウソップ海賊団の旗。
「「マーク変わってんじゃねぇか。」」
2人に頭小突かれるウソップ。しかし絵がとても上手い。さすが、手先は器用だ。気を取り直して…ウソップが描きあげた海賊旗の出来は上々である。
「うん!上手いっ!」
「こんなとこか。」
「同じマークとは思えねぇな。」
「いいな!!あと帆にも描こう!!」
「こういうのはウソップに任せたほうがいいね。」
「昔から人ん家の壁によくアートしてたからな。結構おれは芸術に長けてるんだぜ。」
「ふ〜ん。人ん家の壁にアートという落書きをね〜。いるいるそういう人。」
「うるせぇよ!!」
ウソップのツッコミを軽く流して、海賊旗と旗を設置する。海賊船っぽくなったじゃん。
「よし!完成っ!!これで“海賊船ゴーイング・メリー号”のできあがりだ!!」
パシャ、と音を上げてスマホのシャッターを切る。ゴーイング・メリー号…写真に収めてみたかったんだよね。船の中から。これは家宝だ。
ふとルフィを見ると、船の後方にある大砲のところに向かっていた。ルフィの後を追うと…
ドウン!!!
「ちょっ…なにやってんのルフィ!!」
「大砲の練習だよ。せっかくついてるし。でも上手く飛ばねぇもんだな。」
「そんなのルフィに扱えるわけないでしょ。飛行距離とか考えて撃たないと…」
「そうそう、おれに貸してみろ。」
いつの間にこっちに来てたんだろ、ウソップがルフィから大砲を受け取る。海の上にポツンと立っていた岩に目掛けて撃ちたいらしい。