第10章 海賊の息子
3人を起こし、下らない話をして時間を潰してちょっと、ウソップが海岸の方から凄い形相で走って村の方へ走り去っていった。
「ん?あれは……」
「あ!キャプテン!」
「なんだ…ルフィは一緒じゃなかったのか…」
「まだ怒ってんのかしら。お父さんバカにされた事。」
「さぁな。」
「違う!今の顔は違う!!」
「うん!!何かあったんだ、今海岸で!!」
「あんなに血相変えてどうしたんだろう!!」
ちらっ、とゾロを見る。何か変な予感を感じ取ったのだろうか、バチッ、と私と目が合うと。
「おい…その海岸へはどう行けばいい。」
と、3人に聞く。ルフィのことだから、変な予感がしても大したことになってないだろうから大丈夫かな。
「…ゾロ、私はウソップの様子を見てくるね。」
「おう。」
ゾロ達と別れて小走りでウソップを追っていく。ウソップは村の中央で叫んでいた。
「みんな大変だーーーっ!!!海賊が攻めてくるぞぉーーっ!!!明日の朝、この村に海賊が攻めてくるんだ!!!みんな逃げろぉーー!!!」
……海賊?海賊が攻めてくるの?…さっきの催眠術師が海岸へ向かったことは知っている。そしてウソップが今村の人達に一生懸命伝えていることを結びつけると…あの催眠術師が海賊だということになる。そいつらが攻めて来るとでもいうの?ウソップとの距離が遠すぎて村の人達が何を言ってるのか聞こえないが…
「信じてくれよ!!!早く逃げなきゃ本当にみんな殺されちまうんだ!!!」
そう言ってるウソップを聞くと、多分みんな信じてないんだろう。毎朝毎朝嘘をついていると言っていたピーマン君。海賊が来たと言ったところで、またいつもの嘘かと思ってしまうのも無理はない。申し訳ないけど、これについてはどうしようもない。
「みんな、ちゃんと話を聞いてくれよ!!本当に明日の朝!!海賊が攻めてくるんだ!!!」
「今度こそ本当なんだ!!!」
必死に伝えようとしてるウソップの言葉を、耳に入れようとしない村の人達。追いかけてくる村人に一旦引くことを決めたのか、屋敷へ向かって逃げてくウソップ。カヤに逃げろと言うのだろうか。……てか足速くねウソップ。もう姿が見えないんだけど。やっとウソップの声が聞こえたかと思えば銃声が聞こえるしね。またどっかへ走っていくウソップ。入れ違いになる。