第10章 海賊の息子
「う……く!!ほ……!!ほらみろすぐに暴力だ。親父が親父なら息子も息子というわけだ……!!」
「黙れ!!!おれは親父が海賊である事を誇りに思ってる!!!勇敢な海の戦士である事を誇りに思ってる!!!!お前の言う通りおれはホラ吹きだがな!!おれが海賊の血を引いているその誇りだけは!!偽るわけにはいかねぇんだ!!!おれは海賊の息子だ!!!」
ビリビリと肌が反応するほどの叫び声。ウソップは海賊のことを勇敢な海の戦士と言った。すごいな、そんな考えた方をした人始めてみた。しかし、すごいデジャヴだな。前にも雰囲気が似たような人を見た気がする。
「…そうか!!あいつ…!!思い出した…!!」
「え…?」
ルフィがポツリとそう言った。知り合い…なわけないよね。
「海賊が…“勇敢な海の戦士”か…!!ずいぶんとねじまがった言い回しがあるもんだね…だが…否めない野蛮な血の証拠が君だ…!!好き放題にホラを吹いてまわり、頭に来ればすぐに暴力……!!あげくの果ては財産目当てにお嬢様に近づく…!!」
「何だとおれは…!!」
「何か企みがあるという理由など、君の父親が海賊であることで充分だ!!!」
「てめぇまだ言うのか!!!」
ウソップはクラハドールの襟首を掴んでまた殴ろうと構える。しかしそれをカヤがさせなかった。
「やめてウソップさん!!!もうこれ以上暴力は…!!!悪い人じゃないんです、クラハドールは…!ただ私のためを思って過剰になっているだけなの……!!」
カヤの言葉を聞いてウソップの手が止まる。本人から言われてしまってはそれ以上手は出せないだろう。
「出ていきたまえ…ここは君のような野蛮な男の来る所ではない!!!二度とこの屋敷へは近づくな!!!」
「あぁ…わかったよ。言われなくても出てってやる。もう二度とここへはこねぇ!!!」
そういってウソップは出ていった。
「このヤロー羊っ!!キャプテンはそんな男じゃないぞ!!」
「そうだ!!っばーか!!」
「ばーか!!」
「ばーか!!」
「何でお前も一緒になってんだ。」
ルフィはどこに腹を立てたんだろうか。もしかして、最初のバッサリ断られたことだろうか。