第10章 海賊の息子
「君は…ウソップ君だね…」
クラハドールさんはルフィからウソップへと視線を変えた。もしかして、ウソップもいつもここへの侵入は無断だったりするのかな。
「君の噂はよく聞いてるよ。村で評判だからね。」
「あ…あぁありがとう。あんたもおれをキャプテン・ウソップと呼んでくれてもいいぜ。おれを称えるあまりにな。」
「門番が君をちょくちょくこの屋敷で見かけると言うのだが、何か用があるのかね?」
「ああ…!それはあれだ…おれはこの屋敷に伝説のモグラが入って行くのを見たんだ!!で、そいつを探しに…」
「フフ…よくもそうくるくると舌が回るもんだね。」
「何!?」
「君の父上の話も聞いているぞ。君は所詮うす汚い海賊の息子だ。何をやろうと驚きはしないが、ウチのお嬢様に近づくのだけはやめてくれないか!!」
「あいつの父ちゃん海賊なのか。」
「…うす汚いだと……!?」
不穏な雰囲気が漂う。海賊はいいイメージ持ってる人少ないもんね。確かにうす汚いかもしれないけど…子は関係ないし、いい海賊もいるんだよ。
「君とお嬢様とでは住む世界が違うんだ。目的は金か?いくらほしい。」
「言い過ぎよクラハドール!!!ウソップさんに謝って!!!」
カヤが叫んだ。これはさすがにカヤもカチンときたようだ。そんな目的じゃないはずなのに、ひどい言われようだ。
「この野蛮な男に何を謝ることがあるのですお嬢様。私は真実をのべているだけなのです!君には同情するよ…恨んでいることだろう。君ら家族を捨てて村を飛び出した“財宝狂いのバカ親父”を」
「クラハドール!!!」
「てめぇそれ以上親父をバカにするな!!」
「………何をムリに熱くなっているんだ。君も賢くないな。こういう時こそ得意の嘘をつけばいいのに…本当は親父は旅の商人だとか…実は血が繋がってないとか…」
「うるせぇ!!!!」
ウソップはクラハドールさんを思いっきり殴った。その衝撃でクラハドールさんは飛んでいく。いくら腹が立ったからって、手を出しちゃダメだよウソップ。また罵られる口実ができちゃうんだから。