第10章 海賊の息子
怖がってビビってた3人だったが、笑顔でそう挨拶をすると、緊張がとけてきたのか落ち着いてきたみたいだ。よかった、また気絶されちゃ困っちゃう。
「そうそう、ウソップは時間だって言って店を出てったよ?」
「あ、そうか。キャプテン屋敷へ行く時間だったんだ。」
「屋敷って病弱そうな女の子がいるっていう?」
「うん。」
「何しに行ったんだよ。」
「うそつきに!」
「だめじゃねぇか。」
思わずルフィもツッコんでしまう。確かにあった時嘘ついてたけど。なんでわざわざ嘘つきに行くんだろう。
「だめじゃないんだ!立派なんだ!な!」
「うん!!立派だ!!」
「え?どういうこと?」
ピーマン君によると、ウソップは1年前からずっと女の子のところに元気づけるような嘘をつきに行ってるみたいだった。ウソップの付く嘘は決して傷つけるものではなく、面白い話であり、女の子はそれを聞くことによってちょっとずつ元気になりつつあるようだ。
「なんだ、あいつ偉いじゃん。」
「うん。おれはキャプテンのそんな“おせっかい”な所が好きなんだ。」
「おれは“仕切り屋”なとこが好きだ。」
「ぼくは“ホラ吹き”なとこが好き!」
「とりあえず慕われてんだな。」
こんなに慕われてるから、ウソップのことをキャプテンって言ったり海賊団ごっこの船長やってんだって思った。子供の扱いもうまそうだ。
「よし!!じゃあやっぱり屋敷に船を貰いに行こう!!」
「だめよ!!さっき諦めるって言ったじゃない!!」
「だってお嬢様もう元気なんだろ?じゃあもういいだろ!」
「それでもだめよ!ねぇなまえ!」
「んえ?えー…そうね…まぁ……いいんじゃないかな?直接お嬢様に聞かなくても、最悪執事さんとかに聞けばいいだろうし。」
「あんたまで……」
「いよっし!!行こう!!」