第10章 海賊の息子
「おれはこの村に君臨する大海賊団を率いるウソップ!!!人々はおれを称え、さらに称え“わが船長”キャプテン・ウソップと呼ぶ!!! この村を攻めようと考えてるならやめておけ!!このおれの八千人の部下共が黙っちゃいないからだ!!」
話してるうちにどんどん気が高くなったようで、とうとう私達のすぐ目の前まで近づいてきた。それはともかく、八千人の部下って…嘘にしても盛りすぎでしょ。そんなに大人数の部下を持つ大海賊の船長だったら有名だろうしね。
「うそでしょ。」
「ゲッ!!ばれた!!」
「ほらばれたって言った。」
「ばれたって言っちまった〜〜!!おのれ策士め!!!」
ナミが堪らずツッコむ。するとさっきまでの威勢はどこへやら、慌てだした。それですぐ嘘だとバレてしまう。…ある意味正直者なのかな?
「はっはっはっはっはっは、お前面白ぇなー!!」
「おいてめぇおれをコケにするな!!おれは誇り高き男なんだ!!!その誇りの高さゆえ、人がおれを“ホコリのウソップ”と呼ぶほどにな!!」
とりあえず、ここでの目的は村を襲うことではない。まず、この青年…ウソップを落ち着かせるのが先決だ。
「分かった分かった、ウソップ。私達別に村を襲うなんてこと考えてないし、とりあえず落ち着いて話せるところに案内してくれないかな?お腹空いたし…ね?ルフィ」
「あぁ、そうだな!肉あるか肉!!」
「…村を襲わねぇのか。ほー…海賊っつーからびびっちまったじゃねぇか!しょうがねぇ、おれが案内してやるよ。ついてこい!」
村のご飯屋さんでテーブルを囲む私達。やっぱり年が近いだけあって、ウソップとは話が合うみたい。ものの数秒で仲良くなった。
「それで?村に何のようで来たんだ?」
「私達、長距離を渡れるような大きな船と仲間を探してるんだ。ここによったのはその2つを探すためなの。」
「何!?仲間を!?仲間とでかい船か!」
「あぁ、そうなんだ。」
「はーっ、そりゃ大冒険だな!!まぁ大帆船ってわけにゃいかねぇが、船があるとすりゃこの村で持ってんのはあそこしかねぇな。」
「あそこって?」
「この村に場違いな大富豪の屋敷が一軒たってる。その主だ。だが主と言ってもまだいたいけな少女だがな。病弱で…寝たきりの娘さ…!」
「え……どうしてそんな娘がでっかいお屋敷の主なの?」