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オマエはおれ(ら?)のモノ【おそ松さん】

第5章 シコ松のシコ〈チョロ松〉






「ぶどうか・・・・・いや風邪引いたときは桃か?」



吐きそうなほどに緊張した面接は無事に終了し、早速来週から採用されることとなった。出来ればずっと誰かに養われながら暮らして生きたかったが、花子と過ごすうちに、オトコとしての責任が少しずつ芽生えてきた。


もちろんすぐにどうこうしたい訳ではないが、まずはきちんと働いて自立しないことには花子と付き合えないとおれは考えていた。


だから花子から仕事の紹介をされたときには、これしかないと藁にもすがる思いだった。


たかが週一のバイトのくせに、と思われるかもしれないが、それでもおれにとっては大きな一歩。


・・・早く家に帰って花子に褒められたい。



帰る途中にある最後のコンビニに寄る。
具合いの悪い花子にゼリーでも買って帰ろうと思ったのだ。


そして冒頭に戻る。
ぶどうに桃にみかん。それからパイナップルと豊富なラインナップにおれは頭を抱える。


・・・花子の好きなフルーツはなんだ?


よく子供のころは風邪を引く度に母さんが桃の缶詰めを買ってきてくれた。おれ(いや、おれたち?)にとっては風邪=桃缶なのだが、果たして花子はどうだろうか。


・・・あぁおれって花子のことまだ何も知らないな。


大きなため息を一つ吐いて、スポーツドリンクと全種類1つずつゼリーを買って家へと足を早めた。




「・・・入るぞ・・・って・・・・・え。」



珍しく静まりかえった家に着き、そのまま花子の部屋に直行。扉の前に来ても物音一つしないあたり、まだ寝ているのか。起こさないようにそろーっと扉を開けると、そこにはチョロ松に腕枕されて気持ちよさそうに寝ている花子がいた。


「シーっ!今、寝たところなんだ。」


ニヤニヤと優しそうに笑うチョロ松に苛立ち、それがオマエの看病の仕方かよ、と嫌味を言うことで心の均衡を保った。


(「べ、べ、別に、」)
(「あ?」)
(「な、な、何もしてないからね。」)
(「いや、疑ってねーし。」)
(「シコってもないからね。」)
(「逆に怪しいよ、シコ松兄さん。」)

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