第5章 シコ松のシコ〈チョロ松〉
「花子っ、大丈夫か??」
『はぁっ・・・・・はぁっ・・・はぁっ・・・』
「・・・触るぞ?」
返答のない花子に一応許可を取り、汗ばむおでこに触れれば、そこはかなり熱かった。
ひとまず部屋まで運ぼうと花子をひょいと持ち上げる。なぜだか服は少し濡れていたが、このときはその理由が分からなかった。
久しぶりに花子の部屋に足を踏み入れると、おれたち6つ子のいる部屋とは違い、清潔感のあるいい匂いがした。
続いてベットに目を向ければ、身体を重ねた日々を思い出し、花子が倒れているというのに、どうしようもないゴミでクズの下半身へ一気に熱が集まる。
・・・落ち着け、おれ。相手は病人だぞ?
集まった熱をどうにか分散させようと他のことを考えながら、綺麗になっているベットに花子を降ろす。枕に優しく頭を乗せれば、茶色い髪が揺れ、その隙間から首筋にくっきりとした赤い痕が見えた。
・・・あれ?キスマーク?
エレベーターでキスしたとき、こんな痕なかったはず・・・。
え?まさか・・・十四松が?
いやいやいや、有り得ないだろ。
自問自答してみたところで答えは分からず。悶々としているところに、クソ松が勢いよく花子の部屋に入ってきた。
「大変だぞ、一松っ!!」
「あ?」
うるせーよ、と睨み返せばカラ松はすまんと咳払いをしてから小さな声で話始めた。