第1章 ☪︎ いつまでも(沖田総司)
「わかってるよ
……一君、ここは僕一人に殺らせてくない?
約束したんだ」
僕の言葉を聞いた一君は、何も言わず
そっと刀を鞘に戻した
「君と約束したよね
君に何かあったら僕が
殺してあげるって……」
『う、く……っ、ぁあ、!』
「僕が君を楽にしてあげる」
発作で苦しむ愛おしい彼女の心臓を目掛け
刀を刺した
嗚呼、これで君は僕の傍からいなくなってしまう
『…っ、そ、うじさん……ありがとう……っ、
私は貴方の……、事ずっと……ーー』
彼女は最後、僕の頬を撫で
愛おしい笑顔を見せて灰となった
彼女が居た場所には彼女の刀だけが残っていた
斎藤「……総司、俺は先に戻り報告を済ませておく
落ち着いてから帰ってくるといい……」
一君は不器用ながらも僕を気遣ってくれた
僕は彼女の刀を拾い上げた
彼女の体を抱き上げるかのように
.
.
それから時は経ち、彼女が居なくなってから
数年がたった
僕は病を患い大坂で死ぬを待つ日々
その場所にはあの頃と同じ綺麗な桜が咲いていた
何を思ったのか桜の木の下まで
病のせいで重くなった体を引きずった
桜の木を見上げると
何故か彼女との思い出が走馬灯のように思い出す
彼女の可愛い笑顔
お団子やお菓子を
美味しそうに頬張る彼女
あの悲しげな横顔
彼女との思い出に耽っていると
暖かい春の風が吹く
まるで僕を包み込むかのように
『総司さん』
聞こえるはずの無い幻聴が聞こえる
懐かしい声、心地のいい声
僕の好きな声
嗚呼、迎えに来てくれたの?
何故か嬉しくなった
また君に会えるんだね
僕はそっと目を閉じた ーー
いつまでも
(会いたかった、ずっと)
(いつまでも君の傍に)