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薄桜鬼 ー 短編夢録 ー

第1章 ☪︎ いつまでも(沖田総司)







変若水を飲んだ彼女は

太陽の下に出る事が困難になり

表向きは山南さん同様

死んだこととなり、羅刹隊として

動くことになった


彼女とは夜にしか会えなくなった

寂しさを覚えつつも彼女が生きているという

事実は不謹慎ながら嬉しかった


そんなある日の春の風が吹く夜

僕は寝付けずに部屋の外に座っていた


『総司さん、?』

「桜ちゃん、おはよであってるのかな?」

『……はい、おはようございます

寝付けないんですか?』

「まぁね、桜ちゃんは

何しに来たの?もう皆寝ちゃってるんじゃないかな

あ、もしかして僕に逢いに来てくれたとか?」


冗談交じりに言うと彼女は

少し笑いながらも"はい"と返事をした

まさか、そんな返事が返ってくるとは思わず

たじろぐ

そんな僕の隣に座る彼女は

庭に植えてある桜の木を眺めていた


『……私、怖いです

いつかあの人たちみたいに

理性を失って、血に狂ってしまうんじゃないかって』


彼女は桜の木を見つめたまま

消えてしまいそうな声で呟く

彼女の横顔は今まで見た事ないぐらいに

不安と恐怖が入り交じっていた

知らないうちに、僕は思わず彼女を抱き締めていた

消えてしまわないようにそっと


『ねぇ、総司さん

私にもしもの事があれば

貴方が私を……ーー』

「大丈夫、その時は

僕が君を殺してあげるよ」


そうならない事を願って僕達は抱き合った


.
.

そしてあの夜から数日

それは突然だった

羅刹隊の建物から桜が消えた

山南さんによると吸血衝動の発作で

苦しんでいたらしい

急遽、僕らは桜を探しにでた

何も無いことを願って


「助けてくれ、うぁぁぁああ!!」


街へ出て、彼女を探していると

路地裏から人の叫び声が聞こえた

僕らは、急いで路地裏へ向かう

そこには髪が白くなった愛おしい姿があった

彼女は刀を握り返り血を浴びていた

こちらから見える彼女の顔は快感に歪んでいた



「桜ちゃん」

『総司、さん……?

わた、しは何を……っ!

う、ぅぁあ、あ、ぁあ、っ!』


斎藤「……発作のようだな、総司」


名前を呼ぶと先程の姿から普段の姿がに戻るが

発作の為に、羅刹の姿へと戻っていく




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