第2章 水の呼吸 【冨岡義勇物語】
私が鬼殺隊に入って3年ほどたった頃
私と同じ鱗滝さんが育てた
水の呼吸の使い手が入ってきた。
名を冨岡義勇
最初は凄く無愛想な人だと思い
中々近寄ることが出来なかったが
ある任務で同じになり
共に生活するうちに、
少しづつ話すようになった。
ただ不器用な人なのだと分かった。
そして、少し可哀想な過去に囚われている
人なのだと悟った。
「冨岡さん」
「なんだ風華。」
たまたま廊下で見かけたので
声をかけてみた。
最近なぜが見かけると
話したくなってしまうのだ。
「なにと言われても…あ!あのね!この間、任務に言ってる時に水の綺麗な川があって大きな鮭が泳いでたから…だから…」
「だから?」
「つまり、その、冨岡が鮭大根好きって聞いたから…その鮭を見て冨岡さんを思い出したの!」
「そういう事か。風華は鮭は好きか?」
「うん!もちろん!好きよ!」
「なら、今度美味しい鮭大根を食べに行かないか?」
「え…?ほんと?」
その時冨岡さんの顔を見ると
微かに微笑んでいた。
それだけでも私には十分過ぎるくらい
幸せで頬を桃色に染めた。
「あぁ、今度同じ休暇日に。」
「うん!ありがとう冨岡さん。楽しみにしてるね。」
願ってもみなかったお誘いだった。
最初はただ声をかけたくて
何の話題も無しに声をかけた結果
少し彼に近づくきっかけを作ることが出来た。
気づけば、
胸が高鳴り
口元が緩んだ顔で
自室に帰っていった。