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パンひとつ分の愛を【ONE PIECE】

第7章 トラ男とパン女の攻防戦




ローが再び目を覚ましたのは、午前10時。
起こしてもらうはずの三時間は三時間前に過ぎている。

他人の家、他人のベッドで一度も目を覚まさず、これほど長い時間眠っていられたのは、ローにとってはありえない現象だ。

ベッドの上には、ローひとり。
当然と言えば当然だが、しっかり捕まえていたはずのムギはいなかった。

「……チッ。」

目を覚ましたら隣には一緒になって眠ってしまった彼女が……なんてシチュエーションを期待するローが馬鹿なのだろう。
ムギには夢を見るだけ無駄である。

のっそりと起き出してリビングへのドアを開けると、ダイニングテーブルで追試の勉強に励むムギが顔を上げた。

ムギがちゃんと家にいてくれたことに、心のどこかで安堵した。
昨日は調子に乗ってやりすぎてしまったから、目を離せば逃げてしまうのではないかという一抹の不安が残っていたのだ。

「おい、三時間で起こせと言っただろうが。」

「だって、よく寝てたんですもん。」

一応起こす気はあったと釈明するムギの手には、こんがり焼けたホットサンド。
料理が下手なくせに、パンだけは完璧に調理できるらしい。

「朝ごはん、食べます? さっき、コンビニに行っておにぎりを――あッ!」

隣の椅子に置いてあったコンビニ袋を手繰り寄せようとしたムギからホットサンドを奪い、食べかけのそれに囓りついた。

中身はツナマヨとチーズ。
玉ねぎのシャキシャキ感が残ったツナマヨは純粋に美味しいが、水分を吸収するパンがせっかくの具を台無しにしている。

「そんな不味そうに食べるなら、食べなければいいじゃないですか。ローの分はこっち! コンビニおにぎり!」

「そっちも貰うが、パンを食わねェことにはノルマが終わらねェんだよ。」

「え、ノルマ?」

「パンを食えない男とは付き合えねェ、そう言ったのはお前だろ?」

だからローは毎朝バラティエでパンを食べる。
休日であっても、一度は必ずパンを食べるようにしていた。



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