第7章 トラ男とパン女の攻防戦
「んぁ……ッ」
人差し指が一本、第一関節まで沈んだ。
長さにして、数センチ。
だが、初めて感じた異物感にムギはパニックを起こした。
「や、無理! 無理!」
「……痛むのか?」
「い、痛くは、ない、けど…ぉ……ッ」
処女とは思えないほどに潤った蜜路は、ローの指を歓迎した。
痛みを覚えず、ムギの意思を無視して深く飲み込もうと誘うそこは、淫乱と呼ぶにふさわしい。
しかし、どれだけ身体が雄を求めていても、ムギの心はそれについていけない。
「……今のうちに慣らしときゃ、いざヤる時になっても楽だろ。」
言葉に詰まった。
そう遠くない未来、ローの指が沈むそこに、彼自身を受け入れる日が来る。
例え今すぐじゃなくても未来が必ず来るのなら、痛くない方が絶対にいい。
「少しだけだ。痛くなったら、すぐやめる。」
「すぐ……?」
「ああ。」
言葉だけは、すごく優しい。
が、その目はギラギラ滾っていて信憑性に欠ける。
だけどローは、ムギが本気で嫌がるような真似はしない。
主導権は最初からローにあり、未知なる感覚に戸惑いつつもムギも本気で嫌なわけではないから、たどり着く答えはひとつ。
「ちょっと、だけ、なら……。」
躊躇いながらも答えたら、ごくりと生唾を呑む音が聞こえた。
ムギは案外、押しに弱い。
ローが押しに徹すると、せっかく築いた防壁もなし崩しになってしまう。
そんなムギの性格をローが理解し、断られないように、嫌がられないように事を進められているなど、露ほども疑わなかった。
雰囲気に流されまいと意識していても、強く請われれば無下にはできない。
それが好きな人の願いなら、なおさら。