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パンひとつ分の愛を【ONE PIECE】

第6章 パン好き女子のご家庭事情




「大丈夫だから、本当に。ローが恋人のフリをしてくれるし、それを見たら、あの人も引き下がると思う!」

必死で説得したら、渋々ながらボニーは腰を下ろしたが、明らかに納得できない様子で足を揺すった。

「そのローってやつ、信用できるのか?」

「うん。そこは本当に信用できる。」

「なんだよ、ずいぶん頼ってんだな。この前まで、話したこともない相手なんだろ?」

「まあ……。」

ローと友達になってから今日まで、時間で計算すると短い。
でも、彼は疑いようもなくムギを心配しているし、守ろうとしてくれる。
例え、理由が世話焼きを拗らせているだけなのだとしても、ムギはローを信用していた。

「私としては、なんでローくんがムギにそこまで協力するかが不思議だわ。」

「そういう性分なんだと思いますよ。」

「そうかしら。だって、私が言うのもなんだけど、ローくんは冷たいじゃない。女の子に優しくするなんてあり得ない。」

とても昨日までローを好きだと言っていた人間のセリフではないが、プリンの言い分は概ね正しい。
ただ、ローは身内と判断した人には限りなく優しいだけ。

「ローくんって、ムギのことが好きなんじゃないの?」

「ないですね。」

「すごいスピードで断言したわね。でも、そうよ、あの合コンだって――!」

なにかを思い出したようにハッとしたプリンは、しかしすぐに口を噤んだ。

「合コン? 合コンがどうかしたんですか?」

「……ううん、別に。でも、いいじゃない。あんたとローくん、お似合いだと思う。」 

「プリン先輩、わたしの話を聞いてました?」

ローがムギを好きだなんて、妄想レベルであり得ない。
そりゃ、友達として好かれてはいるだろうが、彼の世話焼きは性癖だ。

「あんたの話なんかどうだっていいわよ。私、あんたとローくんを応援するわ。その代わり、私とサンジさんを応援してよね!」

「いや、応援されても困るんですけど。フリですからね、フリ。」

「だから、どうだっていいわ。」

まったく話が通じないプリンに無理やり手を握られ、彼女は機嫌良く宣言した。

「私たち、同盟を結びましょうね。」

「はあ。」

否定することに疲れたムギは、「ま、いっか」と早々に諦め、強引に同盟とやらを結ばされた。



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