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【うたプリ】My only prince.【R18】

第8章 大人が勇気を仕舞う時には〘嶺二〙





またやらかした。

上司の言葉のひとつひとつが、脳にこびりついて離れようとしない。思い出す度に胸が圧迫感に襲われ、やむを得ずため息が出る。しばらく幸せを感じずに感で満たされていれば、社会的に許してもらえるだろうか、なんてくだらないことを考えていた。


今日はいい日になるはずだった。

仕事さえ終われば久しぶりに嶺二さんに会える。
そう思うだけで目覚めは良かったし、窓を開けた時の快晴が気持ちよかったし、電車も少しだけ空いているような気がしたし、ミスタイプもいつもより格段に少なかったような気もした。いい日になるはずだったのだ。
重大なミスに気づくまでは。



『…ハーゲンダッツでも買うか。』



私はバニラと抹茶を手に取った。私と嶺二さんの分。
しかしすぐ横に目をやると、期間限定フレーバーが目に入る。バニラと抹茶も捨て難いが、ほうじ茶ラテとパンプキンプリンを手に取ってレジへ向かった。


コンビニを出て歩き出す足を、手からぶら下げたビニール袋の幸せな重みが軽くしてくれるような気がした。



今日は1ヶ月と2日ぶりに嶺二さんに会えるんだ。
暗い顔してちゃいられない。

私は2つのアイスを冷凍庫にしまった。


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