【うたプリ】My only prince.【R18】
第3章 あなたの日溜まりになりたいから〘那月〙
「天音ちゃん、今日元気ないみたいです」
『えっ?ああ…』
いつもみたいに一緒にご飯を食べてるだけなのに、那月くんには隠しきれないみたいだ
今日は私の所属するアイドルグループでのレコーディングだったのだが、前回の曲よりも私の歌割りが結構減っていた。それがとっても悔しくて、今晩まで引きずっているというわけなのである
「笑顔が少ないような気がするんです、何かありましたか?」
『…実は、次の新曲の歌割りが減っててさ…』
「天音ちゃんの歌、僕はずっと聴いていたいくらいですけどね」
『私だってもっと歌いたかった…』
なんだか言葉にすると余計に悔しくて、涙が溢れてきた。視界の那月くんが涙で滲む
「天音ちゃん、泣かないでください」
『だって悔しんだもん…っ』
「…僕は天音ちゃんを泣かせる全てを許せません、けど、泣くのは僕はまだ早いと思います」
『えっ…?』
「今回の新曲はどんな曲だったんですか?」
『かっこいいダンスチューンだけど…』
「天音ちゃんの声は柔らかくて、しなやかな伸びが特徴ですよね」
『まあ…そう言われるけど…』
「それに、ダンスの得意な天音ちゃんには、いっぱい踊ってもらった方が、グループのその曲に合うような気がするんです」
『那月くん…』
那月くんは、きっと私よりもグループのことを考えてアイドルをしてるんだろうなぁ、と思って、なんだか恥ずかしくなった。
その時、私の携帯が小刻みに振動した。なんだろうと思ってみると、ダンスの先生から振り入れの予習用の動画が送られてきていた。
「一緒に見ましょう」
那月くんはそう言って再生ボタンを押した