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Deep Blood ーラブヴァンプー

第4章 つもりに積もったチリは、華となるか、凶器となるか。


凛の匂いなら、どこにいてもわかる。
ある種のGPSよりもたぶん高性能な自信があるくらいには。
凛の血液は、特殊だ。
元々は甘い匂いのするだけだった凛の血液は、俺にどっぷりと愛されて、さらには吸血鬼である俺の血液と共存までしているのだ。
その血液は甘く、懐かしく。
凶器のように俺たちを壊していく。
吸血鬼がそばにいれば誰もが欲しがるくらいには。
たぶんものすごく凶器じみた食欲をそそる匂いを、している。
咲が凛に近付くのを嫌がるのも、そのせいで。
色濃く甘い香りは、強い刺激となり空気中へと溶け込むのだ。





「……」





すぐに知れた凛の居場所。
それはよく見知ったファミレス、で。
道路挟んだ向かい側。
窓際に座る凛の姿が、良く見える。
凛が楽しそうに笑いながら話す相手は未琴さんでは、なくて。
全然知らない『男』。
そう。
間違いなく『男』だ。
仲良さそうに話す姿。
飲み物を飲みながら上目遣いに相手を見やる、仕草。
時々困ったように俯く、表情。
ストローを無意識に唇で噛む、癖。
そのどれもが。


凛そのもの。




視線そのままに、ポケットに入れた携帯を取り出す。
そのまま道路の向かい側にいる彼女へと発信、した。
けど。
携帯に一目視線を向けただけで、凛はそのまま携帯をバックへと戻したのだ。


「━━━━━」



なんで?
誰、あいつ。
俺よりもそいつを優先したってことか?


誰だよ、そいつは。
俺の知らないところで愛想なんて振り撒くな。
俺以外の男となんて、ふたりで会うな。
話すな。
もうほんと、誰の目にも触れないように監禁したっていい。



離さない。
逃がさない。
そんなこと、絶対許さない。


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