第3章 運命なんて、選んだ選択肢のひとつの結果でしかない
「…………………………嘘」
「ごめん、凛ちゃん」
前言、撤回っ
鉄剤なんて飲まないし、翔琉のためになんか何にもしない。
してたまるか。
「限度ってもんがあるでしょ、凛さん」
ベッドから起き上がれないあたしを、頭上からにやにやしながら見下ろす親友を一睨み。
「こわっ」なんて大袈裟に肩をすくめながらケタケタ笑う未琴は。
「帰りまた迎えにくるねー」
なんて言葉を残してドアの向こうに消えてった。
こうなるともう、標的はひとりしかいない。
この怒りをぶつけるべく思いきり睨みあげるのだが。
「睨んだその顔もかわいくて、反省してんの忘れちゃうよ、俺」
なんて張っ倒したい言葉がすぐに返ってくる。
だいたい。
こーなった原因は目の前でにこにこと甘い笑顔を振りまくヴァンパイアのせいだっ。
またまた意識をぶっ飛ばしたあたしが朝目覚めると、そこは民宿のベッドの上で。
予想どーり隣では翔琉が寝てた。
確かあたし、未琴と同室だったはずなんだけど。
なんで翔琉がそこにいたのかは考えたくもない。
頭、痛くなるだけだ。
はぁ、とため息ひとつ。
起き上がろうと力を入れた体は、あっけなく脱力し、隣で寝ていた翔琉の上に倒れこんだ。