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Deep Blood ーラブヴァンプー

第3章 運命なんて、選んだ選択肢のひとつの結果でしかない


『運命なんて、たまたま選んだ選択肢の結果でしかないもの。そんなものに人生なんて預けられないわ』










「…………」







「翔琉?」





流れるように浸透する心地良い声が耳まで響いて、浮上してきた意識は徐々にクリアになってくる。



「………ごめん、寝てた?」
「うん」



クリアになった視界に移りこんできたのは、真上から俺を見下ろす彼女の姿、で。
無意識とはいえ居眠りした場所が彼女の膝枕だったあたり、さすが俺、と誉めてやりたくなるものだ。


「ごめん」
「疲れてる?」
「なんで?」
「珍しいなぁ、って」


優しく微笑みながら、膝枕はそのままに頭を撫でる掌は、無意識か、わざとか。
こんな対応なら、居眠りも悪くないのかもしれない。

「あれ、映画終わったの?」
「けっこう前に」
「かなり寝てた?俺」
「うん、痺れすぎて足の感覚なくなるくらいには」

「えっ」


ケロリと平然と言ってのける彼女の言葉に、弾かれたように飛び起きた。


「起こしてくれていいのに」
「うん、5秒に一回くらいにはそう思ったんだけどね」
「………」

短いね、ずいぶん。


「あんまり気持ちよさそうに寝てるから、止めたの」

「………」


にこ、と微笑むこのふにゃふにゃした生物が。愛しくて仕方ない。
なんでこんなにかわいいんだろう。
なんでこんなに、ほわほわ、するんだろう。


「凛」
「ん?」
「も1回、映画見よう?もう寝ないから」
「うん」


はじめからそのつもりだとでも言うように、凛はソファーからテーブルへと手を伸ばし、リモコンを操作した。


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