第2章 もう1人の…
それからの入学式は、そわそわして仕方がなかった。
珍しい名字だと思っていた、あかしという姓。それをこんな間近に同じ名字の子と出会い、こんなに綺麗な男の子だなんて、テンションが上がる。
とりあえず入学式終わったら、声をかけてみよう。
…が、出来なかった。
あかし君はその美貌でクラス中の女の子を虜にしてしまったのだ。教室に着くと同時に女の子達があかし君に群がる。
完璧にあたしは話しかけるタイミングを逃した。
先生が来るまであと20分はある。学校側はこの時間に仲良くなれという意味で設けてくれたんだろうけど、女の子があかし君に夢中になっている今、ありがた迷惑な話だ。
トイレに行こうと席を立つと、あかし君に群がる事なくじっとあたしを見ている女の子を見つけた。
どうしよう。
約5秒間見つめあったまま、気まずさだけが残ってしまった。とりあえず現状打破しようと思い、自分が出来る最高の笑みでニッコリと笑っておいた。
するとその女の子もニッコリと笑ってくれる。
なんとまあ、可愛らしい女の子だろうか。
ホッコリした気分のまま、トイレに向かった。