第2章 もう1人の…
入学式が始まって早々、長ったらしい校長先生の挨拶が始まった。
ここであたしに1つの葛藤が生まれた。
あたしの右隣の男の子は校長先生の話の長さに耐えきれず、ぐったりとしている。
あたしの左隣の男の子…まああの赤髪少年なんだけど。赤髪少年は背筋を真っ直ぐ伸ばして、一言一句逃さず校長先生の話を聞いている。
右隣の子のようにサボりたい反面、左隣の赤髪少年のように真面目にしなきゃいけないという気持ちもある。
あたしはできる限り背筋を伸ばそうと決めた。
そして入学式も終盤に差し掛かる。
教員「新入生代表挨拶。新入生代表、
あかし征十郎君」
へっ?あかし?
「はい」
へっ!?今返事をしたのって…
隣の赤髪少年!?
「……です。新入生代表、赤司征十郎」
あたしと同じ名字だった赤髪少年は、見事立派に挨拶をこなしていた。