第3章 マネージャー、やらないか?
赤司side
クラス単位に別れ、いくつかのスポーツテストの項目が終わった頃、反復横跳びの項目で1組の女子と被った。
バスケ部マネージャーの桃井とペアを組んでいるのは、明石さんだった。
少しだけ、気になる存在なだけだった。漢字は違えど、同じ"あかし"の姓を持つ者同士。彼女がどんな人間かが知りたいだけだった。
それなのに。
牧田「やっぱ桃井さん、可愛いーなぁ…」
西松「牧、本気で桃井さんの事好きなんだな」
牧田「当たりまえだっつーの!てかお前こそどうなんだよ。明石の事、本気なのか?」
西松「…うん、本気だよ。こんな俺に優しくしてくれたんだ。あ、明石さんだ」
牧田「あ、本当だ。ぷっ、だせー。あいつ本当に運動音痴だもんな」
西松「ふふっ、可愛いなぁ…」
それなのに、なぜか気に食わない。西松の明石さんを見る目が、気に食わない。
虹村「赤司」
「っ、虹村さん」
牧田・西松「こ、こんにちは!」
虹村「おう。で、どうだった?赤司の記録は」
「オレは80回でした。虹村さんは?」
虹村「チッ、俺は79回だ。勝てると思ったのによー」
虹村修造さん。バスケ部の主将で、今の中学バスケ界で最強と言われているPF。そしてオレが唯一認めている先輩であり、
虹村「…で、何でそんなに機嫌悪ぃんだ?」
唯一苦手な先輩だ。
今のオレじゃ、虹村さんに勝てる気はしない。まぁいずれは追い抜くけど。
「別にいつもと変わりませんよ」
別にいつもと変わらない。明石さんの事を考えていたなんて、口が裂けても言えなかった。
虹村「…あっそ。ところでお前のクラスに…」
『虹村先輩っ!!!』
声がした方を向けば、その明石さんが満面の笑みで走って来ていた。