第2章 もう1人の…
昼休み。
女子「ー、一緒に食べよー!」
女子「私も混ぜてー!」
『いいよー!ちょっとトイレ行ってくるから先に食べてて』
「あ、私も一緒に行く!」
桃ちゃんとご飯の準備をしていたら、クラスの女子もやって来た。大人数で食べるのは嫌いじゃないし、仲良くなるチャンスだもんね。
ふと前を見ると赤司君の席は既に空席となっていた。どこに行ったんだろう。キョロキョロと教室を見回すと、西松君と目があった。
ひらひらと控えめに手を振ってくれた西松君。あたしも手を振り返すと、西松君は安心したような顔になった。無視するとでも思ったのだろうか。
「ちょっとちゃん!いつのまに西松君とそんなに仲良くなったの!?」
『別に普通だよー。そういう桃ちゃんも牧田と仲良いじゃん』
「それこそ普通だよー!けど…そっかぁ!西松君、そうなんだぁ」
『?』
何を言ってるんだろう、桃ちゃんは。とりあえずそんな桃ちゃんも可愛いから問題はない。むしろありがとうございます!
虹村「明石」
『っ!?』
呼ばれた方を振り向くと、そこにはやっぱり虹村先輩がいた。昨日のように、1人で。1年階なのに、どうして先輩がここに?
『虹村先輩!!!』
虹村「おーおー、元気いいなぁ。テスト、どうだった?」
『それが聞いてくださいよ!あたしテストあるなんて知りませんでした!だから勉強なんてしてません!結果は聞かないでください!』
虹村「ははっ、そんなドヤ顔で言うなよ。ほら、手ぇ出せ」
『?』
出した手に置かれたのは、あたしが大好きないちごの飴だった。
『先輩、コレ…』
虹村「お疲れさん。結果なんて気にすんな。ただの実力テストだからな」
『どうしてあたしに…』
虹村「ちょっと用事があって1年階まで来たんだ。明石の事思い出したから寄ってみた。まぁ受け取っとけ」
虹村先輩はそのまま人混みに消えた。