第2章 もう1人の…
カラオケは、思ったより盛り上がっていた。あたしは人見知りとかあまりしないからすぐに溶け込めたし、桃ちゃんも牧田のおかげで楽しそうだ。問題は…
『あまり楽しくない?西松君』
西松「明石さん…楽しいんだけど、俺人と話すのが苦手で…」
最初こそは牧田と話してて楽しそうだった西松君も、牧田が桃ちゃんの方に行ってしまってからは1人で歌を聴いてるだけだった。どうやら今日来てる他の男子とも面識がないみたい。
西松「明石さんは凄いね。もう皆と仲良くなっちゃって」
『あたし勉強も運動も何も出来ないから、せめて友達だけはいっぱい作って、楽しい人生にしたいんだ。もちろん、西松君もその友達の中に入ってるよ?』
西松「…明石さんって不思議な人だね。牧が明石さんの話ばかりしていた理由が分かるよ」
『どうせ牧田の事だから変な事ばかりでしょー?』
牧田「おーい、明石。アレ歌えって!」
『しょうがないなぁ…その前に違うの歌うからねー。よし、西松君!一緒に歌おう!』
それから西松君と一緒に歌を歌った。つぎに牧田リクエスト曲。アレっていうのはあたしの十八番のモノマネだったりするんだけど、中学でも好評でした。
そしてあっという間に日が暮れてしまった。中学生が遅くまで街を歩いてたらいろいろマズイ。あたしたちはまだ遊びたい気持ちを抑えて、解散することにした。
牧田「桃井さん、家どっち?送って行くよ」
「ありがとう!心細かったし、お願いしてもいいかな?」
牧田「もちろん!じゃぁな、皆!」
うわぁ、男だねぇ牧田。ただ下心見え見えすぎてイラっと来たけど。買ってもらったばかりのスマホを見ると、親からの着信でいっぱいだった。過保護だからなぁ、うちの親。
『あたしも帰るわー。じゃまた明日学校でねー』
西松「あっ、明石さん!」
『はいはーい?』
西松「…送ってく」
あぁ、ごめんね西松君。変なミッションが出来ちゃったよね、牧田のせいで。女子は送るのが絶対!みたいな。
だけど断る前に西松君は歩き出した。だから素直に甘える事にした。
『西松君』
西松「…何?」
『ごめん、あたしの家反対』
西松「 」
まぁ今日が初対面だから仕方ないよね。