第5章 標的01「幼い覚悟と出逢いと別れ」
それが起こったのは私がイタリアに来て1年と数ヵ月経った冬の事だった。
相棒が激しい警鐘を鳴らすので私は飛び起きた。
ガバッ、「ッ!? クソッ!」
私は服を着替えて、急いで目的地へ駆け出す。
前もって炎真と真美はボンゴレ本部へ預けていた。
その場所に着くと古里婦人が倒れている。
「ッ!? 古里さん!?」
私は彼女に駆け寄ったが、彼女は既に息絶えて居た。
「…っく!」
私は歯噛みすると真を探す。
タッタッタッ…、「真!! 真!! 何処に居るの!!」
声を発しながら山を走っていると裏の山林に真が俯せに倒れていて、側には憎き奴が姿を偽って立って居た。
「ッ!? 真!? それにアイツは!」
私は内の炎を全開にして、ダッと助走を付けてその男をドコッと思いっきり蹴り飛ばした。
「ッ!? がはっ!?」
アイツは私の存在に気付いていなかった様だ。
遠くへ吹っ飛んだ奴を気にせず、私は真の側に寄ると傷の治療を始めた。
彼だけは死なせる訳にはいかない!
「…ぅ……ジェ…ラール?」
真は意識を取り戻す。
私はホッとしたが戻って来たアイツを睨み付ける。
アイツは言う。
『ほう…これは面白いですね。貴女の様な子供が死ぬ気の炎を扱う。
…それも晴とは…貴女は何者ですか?』
アイツの言葉に私は真に治癒用の炎を流し込むと離れ、向き直りながら言う。
「私が誰か? とは…『永くこちらに居たせいで私の事を忘れたか? Dよ』」
『ッ!? 何故私の名前を!?』
驚くDに私は真を見る。
真は瞬きして居た。
私は真に少し微笑むと視線をDに戻しながら話す。
『フッ……ならちょっとしたショーを見せようか?』