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その哀しき運命(さだめ)を少しでも変えたくて

第4章 標的00「復活の始まり(後編)」


部屋に入り、ベッドへ仰向けになって横たわった私の瞳は涙で揺れている。

『…彩花』

心配そうな表情で彼女を見下ろしているⅠ世。

私は何とか笑みを作りながら話す。

「……こんなに……人を好きになると…こんなに苦しいと思ったのは久方ぶり…やっぱり…耐えられない……っ」

私は両手で顔を覆うと声を殺して泣いた。

Ⅰ世は彼女が泣き止むまでその頭を優しく撫でる。

そのうち私は泣き疲れて眠ってしまう。

『……彩花の為にも決行を早めなくてはな』

Ⅰ世の決意の眼差しは何を意味するのか眠っている彼女は知る術もない。

それから2日の間に私とツナとの間には沢山の想い出が出来ていた。



決行当日、それは私の知らない間に行われ、丁度そこへ部屋に入った時に分かった。

9世に力と記憶の封印を施された彼はこてんとソファーに横たわって眠りに就いる。

私は彼の側に駆け寄るとその髪を撫でながら言う。

「……ツナ…ごめん……ごめんねぇ…」

ポタポタッ…、眦から涙が止めどなく溢れた。それは彼の頬に落ち、流れる。

9世はハンカチで彼女の涙を拭いながら言った。

「家光を呼ぶから彩花ちゃんはテラスに居てなさい」

その言葉に私は頷くとテラスに向かう。

呼ばれた家光は眠るツナとこれから起こる事を9世は少しだけ話す。

そして時が来るまでツナの側に居ろと言われた所は私は可笑しくて笑った。

その時の家光の顔が可笑しいったらない! あぁ…お腹いたい…

家光は渋々了承するとツナを抱き上げ、テラスに居る彼女を一瞥すると9世を見て言った。
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