第3章 標的00「復活の始まり(前編)」
Ⅰ世の問に私はぽつりぽつり言った。
[空季夫妻の娘として引き取られて……名一杯の愛情をくれた2人に一日も早く応えたいと思っていた
時にボンゴレと敵対するマフィアが尚吾を人質に私との交換を千鶴に要求した。この事は貴方も覚えてるでしょ?]
[あぁ…]
Ⅰ世は頷く。
私は言う。
[尚吾を守る時に私は咄嗟に傷を負ってその力を使って攻撃した相手を瞬殺した。
自分でも何故そうしたのか…]
[ッ!?]
Ⅰ世は目を見開く。
私は泣き笑顔で言った。
[でも……汚れたのが私だけでよかったと思ってる」
悲痛な表情をしていたⅠ世。
[…彩花]
私はⅠ世を見て言う。
[この炎は大空じゃなくて夜の炎の方がよかったのかもしれない。それなら…この嫌な記憶を消せるのに…]
また眦から涙が零れ落ちた。
(この少女は転生して間もなくこれ程までの深い闇を抱えてしまっていたとは…自分は本当に残忍な事を毎回しているな…)
Ⅰ世は内心で呟く。
涙を拭うと私は言う。
[ジョット、私はイタリアへ行ったら今後の為に別人として生きるつもり…裏での名前も決めてるんだ]
[? 裏での名前?]
首を傾げるⅠ世に私は頷くと言った。
「えぇ…ジェラール・アーリア。其れが裏世界での私の名」
[ッ!?]
Ⅰ世は驚愕する。
私はその表情を見て微笑むと話す。
[フフフ…誰もジェラールが私だとは気付きかないし、彼が貴方だと言うのは
アランと私ぐらいだよ。みんなも恐らく表と裏の名前を分けるでしょうね。
いつかは裏から表へと出なければならない時があるでしょうけど]