第3章 標的00「復活の始まり(前編)」
私はそれが分かってる上でのイタリアへ行く事を家光に頼んだのだ。
私はツナの部屋を見つめながら呟く。
「……ツナともお別れ……でもまた会えるから良いよね。
ツナが好きになるのは私ではなくこの世界に生きる京子ちゃんなんだから…
まぁ…途中でハルちゃんも出てくるけれど」
チクリと胸に痛みが走る。
私は胸に手を当てた。
「私の恋は実のならなくていい…前世でも独身を貫いて…亡くなったのだから…。でも……やっぱり辛いなぁ…」
私は止めどなく溢れる涙を拭わずに流す。
もう…どんなに願っても向こうへは戻れないのだから…
私は内心でそう囁くとパジャマに着替えて早々に眠りに就く。
俯いて涙を流し声を圧し殺して泣く彼女にⅠ世は頭を優しく撫でながら言う。
[……彩花…そなたを巻き込んでしまって本当にすまない…。そなたが向こうで残してきた者たちの事もすまないと思っている]
私は顔を上げながら言う。
[いいえ…ジョットは悪くない……これは私自身が彼と話して決めた事だから…]
涙で揺れる黒い瞳を見てⅠ世も瞳を揺らした。
[どうか泣かないでくれ…]
Ⅰ世は私の涙を拭う。
私は言った。
[私は…もう既に手を血で汚してしまっているから]
[……っ]
私の言葉にⅠ世は絶句すると言う。
[……私が知らぬ間に何があった?]