第3章 標的00「復活の始まり(前編)」
家光は首を振ると言う。
「いや、止めなくていい。それは君が大きくなったら役立つものだから」
私は頷くと家光に聞こえる程度の声で話し掛けた。
「あの…家光さん、お願いしたい事があるのですが…」
「ん?」
家光は耳傾ける。
私が言った言葉に家光さんは驚愕しながら見て言う。
「ッ!? そんな事して大丈夫なのか? 君の親だって心配するだろう」
ごもっともだがそれでは意味がないのだよ!
私は内心で呟くと話す。
「私にはやらなければならない運命(さだめ)を持っているんです。
でもそれに親を巻き込みたくないんです。お願いします。家光さん」
私の必死の懇願に家光はため息混じりに言った。
「ハァ〜…それなら仕方がないな。でもおじさんの仕事場はイタリアだぞ? 大丈夫か?」
家光の問いに私は頷くと言う。
「イタリア語は習いたいから逆に望むところです!」