第13章 標的09「食い逃げと保育係 来る!!」
「貴女は本当に狡(ずる)い人……はい。治癒完了」
そう言うと棍棒をアクセに戻す。
楓は言った。
「大丈夫か?」
心配そうに問う楓に和は話す。
「平気です。寝たら回復するんで……彩さんは明日は絶対に1日安静にしていてくださいね。
怪我を治したけど肉体的ダメージは残っているんですから」
和の言葉に私は頷く。
それを見た和は帰って行った。
「彩さん?」
楓は動かない斗真を見た。
「スー…」
眠ってしまっていた。
楓はため息を吐くと側に来ていた人物を見て言った。
「ハァ…彼の事は貴方に任せます。ちゃんと家に送り届けてくださいよ」
楓の言葉にその人物は苦笑いしながらもしっかりと頷く。
温かい人の温もり……しばらく誰ともハグしていなかったからかな? この香り…ものすごく落ち着く…
目を覚ますと白いモノと視界の隅に見覚えのある髪が見えた。
「え?」
私が瞠目すると相手は気付くと言った。
「あ 目を覚ましたんだね」
私をおぶっていたのはツナだった。
私は口をパクパクしながら言った。
「え!? な なななっ 何でツナが!?」
混乱する斗真にオレは言った。
「お 落ち着いて斗真!?」
ツナがおぶっている事に改めて気付いた私は大人しくなると背中に顔を埋める。
「何で僕をおぶってんだよ。こんな姿…恥ずか死ぬ…///」
耳まで真っ赤にさせているであろう斗真にオレは苦笑いしながら話す。
「アハハ…何でかあの後、斗真の事が気になって楓君の向かった先を追ったんだ。
丁度、楓君が声かけてたけど君が眠っている事にため息吐いて、俺に任せるって」