第5章 標的01「幼い覚悟と出逢いと別れ」
「……お前はいったい何者なんだ? そこまで話してお前にメリットはねぇだろう?」
オレの問に彼女は瞳を揺らしながら言う。
「うん。でも……それでも貴方を失うよりは自分が死ぬよりも避けたい…
だからリボーン……私を信じてくれる? 貴方の信頼が在ってこそ…この力がちゃんと使える気がするの」
私は自分の胸に手を当てる。
オレはボルサリーノを下げた。
(彩の提案は正直言って有り難い。素の姿ならば任務に支障は出ない。……リスクが伴う確率もある。……だがオレは…)
オレは彼女の右肩に飛び乗った。
「ッ!?」
私は驚愕する。
リボーンが私の肩に!? これって…
オレは言う。
「お前を信じるぞ彩。家庭教が生徒を信じなきゃ意味がねぇからな」
オレの言葉に彼女は頷く。
「……グラッチェ…リボーン」
私はリボーンのおしゃぶりに触れる。
彼は居心地が悪そうだ。
私は目を瞑ると内心で言葉を紡ぐ。
(我……トゥリニセッテに干渉する者……今、一時(いっとき)だけその内に在る封じられし力を解き放て!)
ピカアァッ…、おしゃぶりが煌めくと彼の体に変化が起こり、体が大きくなって元の姿に戻った。
「ッ!?」
オレは唖然としながら自分の姿を見ている。
私は微笑むと言う。
「フッ…良かった……出来た…」
ふらっと彼女の体が傾き、ドサッとオレは抱き止め、驚愕しながら呼び掛ける。
「ッ!? 彩!?」
私は言った。
「大丈夫…初めて…力を使ったから疲れただけ……ごめんね…心配かけて」
謝る彼女にオレは姫様だっこをすると言う。
「ならその力もいつでも扱える様にマスターしねぇと…な」