第3章 4月、木曜放課後、家庭訪問。
木曜の放課後、俺は橘に声がけすると「7時ですよね。」と俯きがちに問われた。
「失礼なこと聞きます。先生独身ですか?あと食事のアレルギーありますか?」
「独身だしアレルギーはねえけど。」
「わかりました。では7時によろしくお願いします。」
ぺこり、橘は小さく会釈をし教室から出て行く。
他の生徒なんか要らないことばっかり聞いているらしく、「マサちゃんバイバーイ」なんて軽く声をかけていく。
教室の戸締りをし職員室に行けば確認するプリントの山。
まあ、あと2時間あれば終わるだろ。
俺はおびただしい書類に向かい合った。