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貴方が傍に居たら

第1章 プロローグ


ジョゼフさんから貰った一覧を元にサークルの場所を一通り巡る。

(思った以上にサークル多いなあ。)

規模の大きい大学だからなのかサークルの量も田舎の大学とは比べ物にならないくらい多い。
とりあえず私は気になるサークルの活動場所だけ見ることにした。


「ここかな?料理サークル」


教室に入るのを躊躇ってると視界が陰る。


『料理サークル希望かな?お嬢さん』


声のする方を振り返ると身長の高い男性が立っている。
驚くほど高い背丈でスーツが良く似合う。


「あの、サークル見学に来ていて気になったもので」

『そうかそうか。私は料理講師のジャックと言う。お嬢さんは?』

「私は最近転入してきたツキ愛染と申します!」

『愛染さんか。気軽にジャック先生とでも呼んでくれ。とりあえず中を見てみるかい?』


その男性はジャックと名乗り連れられるままに教室に入る。
中は設備が整ったキッチン、冷蔵庫の中にはたくさんの食材が入っていた。
学生は6人ほど居たが全員女性で皆ジャック先生に対して好意を持ってるのがあからさまだった。


『はいはいお嬢さん達。今日は何を作ってくれるのかな?』


料理サークルでは学生が好きに料理を作り食べるのが基本らしい。
作ってく中でコツや味のアドバイスをジャック先生が教えるという。

話し方と雰囲気はジョゼフさんに似ているのだがジャック先生の笑顔に私は少し恐怖を感じた。
本能なのだろうか?この人は何か危ない匂いがする。

バルク叔父さんに引き取られるまで親戚を転々としていたのだが、私を嫌い暴力を振るっていたお兄さんに似てるからなのか。思わず警戒してしまう。

『料理サークルはどうだったかな?他のサークルもいろいろ見て回るといい。』

そう言って頭を撫でようとするジャック先生の手を私は払い除けてしまった。


「あ、すみません。他も回ってまた決めます。」

私は逃げるように挨拶しその場を去る。
ジャック先生の

『ほお、警戒心の強い女性は手に入れたくなるものですよ...』

の言葉も聞こえないまま。


過去のトラウマが蘇って体が震える。
壁に手をつけて息を整えていると声をかけられた。

『大丈夫か?』

長い黒髪を束ねた男性?なのかな。

『お前は...最近転入してきたツキか。無理はするな。』
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