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貴方が傍に居たら

第1章 プロローグ


『写真が気になるようだね。』


艶があるも男らしい低い声が響く。
その声のする方を振り返ると綺麗な顔立ちで吸い込まれるような青い目をしている男性が立っていた。


「す、すみません!写真が気になったもので。」

『構わない。好きに見るといい。』


この方が理事長なのだと分かったが美智子さんの言っていた40代には到底見えない若さを感じる容姿をしている。

私は気付いたら見とれてしまって居たようで


『君のように可愛いお嬢さんにじっくり見られると連れ去りたくなるだろう?』


艶のある声で甘い言葉を吐くものだから慣れなくて顔を赤らめてしまう。


『からかって悪かったね。君がバルクの言っていたツキ愛染さんかな?』

「そ、そうです。この度は推薦して頂きありがとうございます。」

『私は理事長のジョゼフだ。バルクとは昔からの縁でな、君の話は伺っている。何か困ったことがあればいつでも頼るといい。』


それから暫く大学の話やプライベートな話をジョゼフさんとした。
ジョゼフさんの趣味は写真で理事長の仕事と併用して写真家としても活動している事が分かった。

ジョゼフさんから慣れない土地で不安もあるだろうから何か不便なことがあればいつでも連絡するようにと連絡先も貰った。

私は写真で気になった男性の後ろ姿のことを聞いてみたのだが

【写真は人が永遠に生きれる場所だ。】

と、そう言って濁されたのであまり話したくない事なのだろうと思いそれ以上追求するのはやめた。

ジョゼフさんとの話も終わり大学を後にして帰宅したが大学の規模の大きさや、綺麗な事務長の美智子さん。
そして理事長のジョゼフさんを思い出して私はとんでもない凄いところに来てしまったのだと浸る。

(あ!そう言えば隣の住人に挨拶してなかった!)

バルク叔父さんから貰った挨拶用のお菓子を持って隣の部屋のインターホンを鳴らす。

返事をして出てきたのは高身長の黒髪で体付きはガッチリしていて顔に傷のある男の人だった。年齢は私と一緒か年上くらいの、傷はあるものの綺麗な顔立ちをしているのが分かる。


「初めまして、隣に越してきたツキ愛染と申します。」

『...ノートン・キャンベルだ。よろしく。』

そう言って男の人は部屋に戻ってしまった。

(んー不器用なのか無愛想なのか...)
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