第5章 いつかその花を手に入れる*黛千尋
昼休みの始まりを告げるチャイムが鳴ったと同時に、お弁当と水筒を持って階段を降りる。
図書室の前を通りお弁当の中身が崩れない程度に小走りするとスライド式のドアが見えてくるので、そのドアを音を立てないようにゆっくりと開く。
すると、今日もいつもと変わらず白衣を着て髪を綺麗にまとめた先生が顔を上げ笑顔で俺を迎えてくれた。
そう、俺の目的地は保健室。
正確に言えば、保健室にいる橘先生に会うことが目的だ。
「いらっしゃい、黛君。今日も早いね。」
「先生に少しでも早く会いたいからな。」
またまた嬉しいこと言ってくれるなぁ、とすぐに顔を緩めながら入口近くの丸テーブルに腰掛ける先生。
俺も先生の隣に腰掛けお弁当を広げる。