第13章 「いいように真に受けて」
次の散歩の日、ドキドキしながら
新品のプレストパウダーを下ろした。
色のつかない粉を付属の
小さなパフに取り、
日焼け止めを塗った上から
軽く滑らせる。
と、またリヴァイに
「おい、何をしてる」
と洗面所を覗かれた。
『え、あ、これは』
リヴァイはしどろもどろになった
さやかと洗面台に置いてあった
パッケージを見比べた。
パッケージに入っている煽り文句は
〝赤ちゃんにも安心!
無色透明の優しいパウダー!〟
「ほう、それくらいなら悪くない」
そう言ってリヴァイは
洗面所から引っ込んだ。
鏡の中のさやかの顔は
見る見る赤くなった。
前に言ったこと......
覚えてたんだ。
だとするとそれは
何の気なしの発言ではなかった、
ということになるのだろうか。
そんなことは敢えて聞けない、
やっぱり罪作りなことには
変わりない同居人だった。