第8章 「フキノトウ/フキ そしてツクシ」
「苦さの元は花だ。少しツボミ
取っといたがダメだったな。」
そう言われて花の回りのだけ
かじるとちょうどいいほろ苦さだ。
『うううー、
これなら全部ばっけ味噌に
してもらったほうがよかったー』
嫌いなものは一番先に片付ける主義だ。
甘い天つゆに
びたびたに浸して一気食いする。
そして水をがぶ飲みしてから
ふと気づくと、リヴァイが
目を丸くしてさやかを見ていた。
『......何』
「半分まで食ったらギブアップ
していいと言おうとしたが......
言う機会を逃したな。」
『早く言ってよーーーーー!!!』
「ずいぶん立派だな」
リヴァイは本気で感心した様子だった。
さやかは脱力しながら
フキノトウに次いで
怪しげなツクシの天ぷらに箸を伸ばした。
『あっ、何!
ツクシの天ぷらのほうが
ずっとおいしいじゃん!』
「うまいっていうかクセがないからな。
揚げるとアクが吹っ飛ぶからだ」
『何でフキノトウはアクが飛ばないの!』
「だから言ったろ、
フキノトウは料るのが難しいとな。
ばっけ味噌作るとこ見てただろ?
花つけたままだったら、
フキノトウと同じ量の味噌
ぶち込んでやっとほろ苦なんだぞ。」
さやかも納得して頷いた。
『もういいや。
後はおいしいものしか残ってないし。
ノルマはこなした!』
と、リヴァイがやや心配そうに
さやかをうかがった。