第7章 「春が遅い年は悪くない」
リヴァイの言った通り、
本当に〝ちょっと〟
......具体的には
信号二つ分を歩くと
広い川にぶち当たった。
今まで気づかなかったのは、
駅の反対側へ向かう道が
マンション辺りから
緩やかな坂になっていたからだろう。
わずかな傾斜だが、
見通しが利かなくなるには充分だ。
『わぁ......』
景色の良さもあるが、
爽やかに吹き付けてくる
川風の心地よさに
思わず声が漏れた。
「橋のたもとから
河川敷に下りられるぞ」
『自転車も大丈夫?』
「問題ない。
サイクリングロードもある」
けっこう人工的な河川敷なのかな、
と思いながらリヴァイと一緒に
橋のたもとに向かう。
そうして下り口から
見渡せた河川敷は、
あらゆる意味で〝ほどほど〟という
言葉が似合うものだった。