第6章 「ブランチ」
そして、リヴァイは
行き倒れていたときの
自分のリュックから何か取り出した。
まったく機械に詳しくない
さやかでも分かる、
それなりに値が張るであろう
一眼レフのデジカメだ。
多分、諭吉が十人では足りない。
『すごーい、
そんなの持ってたんだ?』
「ああ、少し趣味で......
風景とか撮るの好きでな」
リヴァイが微妙に語尾を濁した。
ああ、ここから先は
触らないほうがいいな、と思った。
『いい趣味だね』
それだけ言って笑うと、
リヴァイがやや照れたように見えた。
そしてリヴァイは
カメラをたすき掛けにし、
玄関先で自転車の鍵を取った。
「おい、行くぞ」
さやかが玄関の戸締りを
している間に、リヴァイは
約束通り自転車を出してきた。